ジムに行きたい人は誰しも似たものだが、ジムに行きたくない人はそれぞれの理由をもっている。
── トルストイ
- 家でも運動できる
- 仕事が終わらない
- 眠い
- ちょっと目が覚めすぎている
- 空腹
- 満腹
- ジムが汗臭い
- 自分が汗臭い
- 混んでそう
- この時間帯は変な人が多い
- 寒い
- 暑い
- 遠い
- 実際には徒歩1分の距離が10分に感じることもある
- インターネットのほうがおもしろい
- 服を着たくない
- 体力を温存したい
- こないだ声をかけてきた人に会うと気まずい
- 喪中
- 病み上がり
- 母危篤
- 週末くらい休みたい
- 平日も休みたい
- 盆
- 正月
- 下痢
- 便秘
- 雨天
- 強風
- 花粉
- こないだ行った
- 思いつきで行動するのはよくない
- 明日用事がある
- 明後日用事がある(加齢による筋肉痛の遅延を考慮)
- 鈍痛
- 違和感
- どちらかというと運動よりも食事がしたい
- 純粋に家にいたい
- 肌の調子が悪い
- 身体を動かすことが好きなタイプではない
- 義務感で行くのもどうかと思う
- 休館日だったか思い出せない
- 行けばいいってもんでもない
- 運営会社への不信感
- 今まさに腕立て伏せをしている
- しばらく距離を置いて関係を見つめ直したい
- さまざまな菌やウイルスから身を守りたい
- 行こうとする気持ちが大事
- 仏滅
- 行ってもお金にはならない
- ジムといっても所詮は甘え
- 嫌な予感がする
- 次行くときのありがたみを増すため
- 慣性の法則
- 一昨日も行かなかったし昨日も行かなかったから、今日も行かないだろう(帰納法)
- ジムに履いていく靴がない
- ジムに履いていく靴を買いにいく靴がない
- 「あえて行かない」という選択肢もある
- 市況の低迷
- 懸垂マシンの上になぜか芳香剤が設置されていて、懸垂をするたびに強い香りがする
- 今行こうと思っていたのに親に行けと言われてしまった
- ジムウェアを洗濯するのを忘れた
- ジムウェアは洗濯したけどちょっと生乾き臭がする
- ジムウェアの生乾き臭に吹きかけたリセッシュが乾くのを待っていたら自分がいま何をしようとしていたのか忘れた
- 今日行くのは凡人の発想、天才は明日行く
- いきなり行っても身体がびっくりしてしまう
- あとで行こうと思っていたのにさっき間違えてお風呂に入ってしまった
- 今日行ったところで、過去100日間の平均でみたらべつにゼロと変わらない
- 身体を鍛えるより脳を鍛えるほうがなんか高尚な気がする
- ちゃんと通ってる人に失礼
- 今日でも明日でもマクロでは同じ
- ジムに行ったぐらいでやった気になるほうが危険
- じゃあお前は行ったのか?
- 自分が行くことで混雑したら今いる人にかわいそう
- こんな時間にジムに行こうとする奴にろくな奴はいない
- 自分だけ健康になりたいという考えが邪
- 行く行かないの二元論で考えたくない
- 行ってやったぞ的なドヤ顔で帰ってくる自分が目に浮かぶ
- 行く気があるからこそ、軽い気持ちで臨みたくない
- 世界にこれだけの苦しみがあるというのに、ここでのんきにスクワットをしている場合か
- 行かない自由も憲法で保障されているはずだ
- そもそも論
- 顕微鏡で見ればどれも原子
- ジムというレガシーなUIにいつまで固着する
- 「ジムに行った」という自己認識は、ジムに行かなかった者の沈黙の上に成り立っている。私はその沈黙側に連携しているだけ
- 筋肉という言語に、あまり規律的な文法を当てはめるのはいかがなものか
- 己の身体を律するという一点においてすら金銭の授受が伴う現代文明とは、まったく嘆かわしい
- 人間の身体というのは本来、道場的空間で鍛えられるべきであって、冷房の効いた空間でBGMとともに鍛えられるものではない
- ジムという制度そのものが近代的身体の管理装置であるならば、そこから距離をとることがむしろ倫理的な行為といえる
- 筋トレの単純動作には、野生の思考がない
- ただ自己複製を使命づけられたこの肉体が、自らジムに向かうようになど設計されていない可能性について考えはじめるべきである
- 私の複層的な身体性をジムというリニアな鍛錬の場に収束させたくない
- 恒星間移動を志す種として、地球の重力で筋肉を鍛えるというのは少々短期的すぎる戦略だ
- ジムに行くことは、情報化した肉体の再物質化であり、それは一種の後退だと感じる
- 鉄を持ち上げるのに、何ゆえ心を沈めるのか。心が重ければ、それでよいではないか
- ただ筋を鍛えんと欲して筋を鍛えるは、未だ鍛えざるなり
- 筋肉を求める者よ、自らの骨を見よ
- 身体は器にして、法の流れを留むるものにあらず。器を磨くことに迷うて、法を失うことなかれ
- 塵は磨いても塵。だが、光る塵は美しいと錯覚する者もいる
- その見事な大臀筋は、いつ土に還ったのか